サンタがウチにやってきた                           By まなみ にぶいおとがして、あたしはめがさめた。 まっくらなへやのなかで、だれかがうずくまっている。 「だれ?おとうさん?」 きいてから、あたしはじぶんのバカさかげんが、いやになった。 おとうさんが、かえってきてあかりもつけないなんてことは、いままで、ただの いちどもない。 ほかひとだと、かんがえるべきだ。 「だれなの?」 「ありゃ、起きちゃったのね」 へやにあかりがついた。 あかりをつけたのは、きれいなおねえさん。 さっきのおとは、おねえさんがかもいにひたいを、ぶつけたおとじゃないかしら。 すごくせがたかいし、あしもながいの。 ちゃんと、でるとこはでてるし、ひっこむとこはひっこんでる。 いわゆる、ないすばでぃってやつ。 おまけに、びじんだ。 でも、すごくバカそう。 それよりも、あたしのきをひいたのは、そのかっこだ。 ぴちぴちだけど、れいのあかいふくをきてるから、たぶんサンタさん・・・だと おもう。 でも、おじいさんじゃないから、サンタさんじゃないのかも。 「あなた、だれ?」 「うふふ、見て判んない?」 「・・・サンタ・・さん?」 「あったりぃ〜!」 「わぁ〜い!あたし、いいこにしてたから、きてくれたのね」 「そうよ。・・・えっと」 「マミ」 「そうそう、マミちゃんがいい子にしてたから・・」 「ねえ、サンタさんて、おじいさんじゃないの?」 あたしは、きいてみた。 おねえさんのサンタなんて、あたしはしらないから。 「去年はね。でも、今年は、私がサンタなの」 「サンタのおじいさんとは、どういうかんけい?」 「関係?・・こんな質問初めてだわ。そんなこと、どーでもいーじゃない」 「だめよ。こういうことは、ちゃんとしておきたいの。あたし、あなたみたい に、いいかげんじゃないもの。ま、これはしゅぎのもんだいかしら」 「・・ヤなガキ」 サンタのおねえさんは、ちいさなこえでいった。 でも、あたしは、ききのがしたりはしない。 「きこえたわよ。まあいいわ。そのことは、とわないでいてあげる」 サンタのおねえさんが、むっとしたひょうじょうをしている。 かんじょうが、かおにでるなんて、まだまだよね。 「ねえ、かんけいは?」 「もう!バイトよ!バイト!」 「なぁ〜んだ。ばいとかぁ。それじゃ、たいしたものは、きたいできないわね」 「言いたいこと言っちゃってくれるわね。見てなさい。あんたがビックリする よーなの、出してみせるから。さあ、何が欲しいのよ。言いなさい」 サンタのおねえさんが、むきになって、かついでたふくろをかまえた。 こういう、たんじゅんなのは、あつかいがかんたんでラクよね。 「さあ、欲しいものは、何?」 「せかい」 あたしはひごろから、どうしてもほしくてしょうがないものの、なまえをいった。 「へ?」 「なにハトがまめでっぽうをくらったようなかおしてるのよ」 「ハトが豆鉄砲って、あんた、いくつよ」 「5さい」 「ごさい?ウソでしょ?あ、ほんとは、千と5歳とか・・」 「そんなにんげん、いるわけないでしょ。そんなことより、はやくちょううだい」 「そう、それなんだけど、私の聞き間違いかもしれないから、もう一度言ってみて」 「なんどもいわせないでよ。あたしは『せかい』がほしいの」 「そ、そのさ。せかいって」 「あんた、バカ?あたしはね、せかいせいふくするのがユメなの。だったら、い まもらっちゃえば、せかいせいふくしたもおなじでしょ」 「あは・・あはははは」 おねえさんは、わらってごまかそうとしてる。 そうはさせるもんですか。 「ちっ!いくらおおきなこといっても、しょせんはバイトってことね」 「何言ってるのよ!ホントのサンタだって、そんなものあげられないわよ!」 「わかった。もういいわ。もういらない」 ぜったいに、なにかいいかえしてくるとおもっていたにちがいない。 おねえさんが、ひょうしぬけしたかおをしている。 もうひとおしだ。 「ふっ。こうしてユメやぶれて、こどもはおとなになっていくのよ」 あたしは、おねえさんにせをむけて、ふとんにくるまった。 「あ・・マミちゃん?」 「いいの。おねえさんのせいじゃないわ。もう、あたしのことは、ほっといて ちょうだい」 「あ、あのね。世界はあげられないけど・・世界征服する力はあげあれるわ」 「・・・ホント?」 「ええ、ホントよ。そのかわり・・・」 おねえさんのてがふとんのなかにもぐりこんできた。 あたしのからだを、いいようにまさぐる。 「・・あん、イヤっ」 「世界征服したいんでしょ?」 あたしは、こくりとうなずく。 「だったら・・・ね。誰にも内緒よ」 おねえさんのからだがふとんのなかにすべりこんできた。 すでに、ふくはきていない。 ほてったからだのあつさがつたわってくる。 あたしはからだをいれかえ、おねえさんとむきあった。 こうなれば、あたしのかちだ。 すうふんもたたずに、おねえさんはしょうてんした。 あそこは、オネショしたみたいに、びちゃびちゃになっている。 「あはぁ〜ん。マミちゃん、スゴくいぃ〜」 「ふっ。とうぜんよ。3ねんまえから、おとうさんにきたえられてるもの」 「3・・・」 おねえさんは、ぜっくした。 そりゃそうだ。 3ねんまえといえば、あたしは、まだ2さい。 「鬼畜ねぇ。マミちゃんのおとうさんて・・名前は?」 「マサヒロ」 「ふぅ〜ん。間部マサヒロかぁ」 ねんのためにいっておくけど、『間部』は『はざまべ』とよむんだからね。 けっして『ま×べ』とか『×ズル』ってよんじゃダメよ。 「すごいテクニシャンなのね」 「あ、それはちがうわ。さっきのは、マス○○やまっていうひとじきでんの・・」 「ますおお・・」 「ストップ!せっかくふせてるんだから、よんじゃダメ!それに、これは、マル よ、マル!『おー』じゃないわ」 「うん。わかった。で、その人の・・」 「ゴ○ドハンドともよばれてるの」 「ゴッ・・」 「ストォ〜ップ!もう!なんどいわせるのよ!」 「ご、ごめんなさい」 「ちょっと、おしおきがひつようみたいね」 「ひゃうぅぅぅぅっ」 あたしのてがうごくと、おねえさんがのけぞった。 さすがは『マスいぬ○○』せんせいじきでんの『○ウドハンド』。 かちくをちょうきょうするのには、さいてきよね。 かんしゃ、かんしゃ。 あ、なんてバカなの、あたし。 ふせるばしょ、まちがっちゃった。 じこけんおしながら、あたしはおもった。 ・・・みとめたくないものね。 じぶんじしんのわかさゆえのあやまちってさ。 「あぅ・・あ、あの・・・もっと、おしおきしてください」 よほど、きにいったのか、おねえさんのほうからもとめてきた。 「あとは。プレゼントをもらってからよ」 「先じゃないと、いやですぅ」 「いいとしして、ダダをこねるんじゃないの」 「プレゼントしても、私の事、捨てられちゃわない?」 ますます、じこけんお。 すっかり、せいかくをよまれてる。 ホント、あたしも、まだまだね。 「じゃあね、あたしのしもべにしてあげる。だいいいちごうよ。これでどう?」 しもべを、もたないしゅぎのあたしにしては、さいだいげんのじょうほだ。 せかいせいふくするには、やっぱ、じぶんのちからでやらなくちゃいけない。 かこに、いくつのそしきが、へたれなぶかをつかって、せかいせいふくにしっぱ いしてるって。 まあ、とっぷがバカなのよね、とあたしはおもう。 がくしゅうのうりょくぜろよね。 「よろこんで、僕になりますぅ」 「じゃ、プレゼントをちょうだい」 「はい。ちょっと待っててくださいね」 サンタのおねえさん・・そういえば、なまえをきいてなかった・・は、ふくろに むかって、なにやら、ぶつぶつとつぶやく。 「どうしたの?どうなったの?」 「終わりました。マミちゃんは、思いの人を思いの姿で思いの場所に現せられる ようになりました」 はやいはなしが、にんげんどこでもドアってことらしい。 うまくつかえば、せかいせいふくがラクにできそうだ。 「じゃ、さっそく」 めのまえから、サンタのおねえさんがきえた。 どうやら、ほんとだったみたい。 なかなかやるじゃない、サンタのおねえさん。 あたしは、ダッシュでテレビのスイッチをいれる。 ぜんきょくが、とくべつほうそうになるのに、すうふうんとかからなかった。 ふくとしんのどまんなかに、とつぜんあらわれたデカいおんなのこをまぢかでと ろうと、どのきょくもけんめいになってるのが、おおいにわらえる。 あそこがうつったら、どうするつもりなのかしら。 それいぜんに、ふみつぶされちゃうんじゃないかな、とおもっていたら、やっぱり。 けいさつともみあってたれんちゅうが、そこらいったいのビルごと、かんたんに ふみつぶされてしまったのが、テレビにながれる。 ちらっとみえただけだけど、にほんほうそうきょうかいのスタッフみたい。 べつのちゃんねるでは、とおくからのえいぞうがうつっている。 200めーとるをこす、こうそうびるが、おねえさんのあしくびまでで、ほかの ちいさなのは、びるとしてにんしきすらできない。 3000めーとるっていうのは、おもったよりおおきいんだなぁ。 でも、おねえさんは、なにをやってるんだか。 こうどうをみてると、ホント、バカよね。 ただあるきまわるだけなら、そこらのこどもでもできるじゃない。 あたしのしもべになったんだから、もうすこし、きのきいたこうどうをしてほし いもんだわ。 でも、みていてあきないから、いいか。 さんざん、おおわらいさせてもらうと、しもべいちごうをよびもどした。 「マミ様、ひどいですぅ」 「ひどい?どこがよ?」 「いきなり私を大きくして放り出すなんて・・」 「ホントかどうか、ためしただけじゃない。それじゃ、あたしは、ねるよ。あし たから、せかいせいふくで、いそがしくなるからね。しもべいちごう。おまえ は、おとうさんがかえってきたら、たたきだすこと。いいわね」 「あ・・あのぅ。しもべいちごう、じゃなくてぇ、ティープルって名前で呼んで くださいませんかぁ」 「ああ、こんどからね。じゃ、おやすみ、しもべいちごう」 いますぐにでもはじめたいのに、ねむくておきていられないのが、ちょっぴりか なしい。 まあ、おたのしみは、あしたにっとておこう。 ことしは、たのしいクリスマスになりそうな、よかんがする。 「ああん、おしおきしてくださいよぉ。マキ様ったらぁ」 しもべいちごうのこえなんか、みみに、はいらない。 あたまのなかは、たのしいせかいせいふくのほうほうで、いっぱいなの。 わくわくしながらも、あたしは、いつしか、ゆめのせかいへ、はいっていった。 (つづく・・・かどうか、わかんない)