もうひとつのコワイ童話  〜 七人のいけない小人たち 〜 第3章 友美  白い看護婦姿の友美は、姫から見れば右側の大きな胸の上にいた。  標高一メートルはある肉の白い小山である。周囲は、数メートルになるだろうか。現実の世界でも、小学六年生としては、おそらく相当な巨乳の方だろう。  姫の、四メートルはある怪物のような手の影が、獲物を捕まえようとする網のように、頭上に広がっていた。  二メートル近い柱のような太い五本の指を、友美の体の周囲に広げていた。  それが守っていてくれたので、オナニーの膨大なエネルギーが生み出す、大規模な肉体の地震の渦中にいても、振り落とされずに済んだのだった。  必死に、乳首にしがみ付いていたためもあるだろう。  少女の体操シャツは、ぐっしょりと汗を吸い込んでいた。  特に、胸の谷間が濡れていた。  生地には、夏の陽射しと、焼けたグランドの土の匂いがした。友美には、ひどく懐かしい感じがした。外の世界からの便りだったから。  シャツの下には、スポーツ・ブラの輪郭が、くっきりと透けていた。  友美の白衣にも、汗はたっぷりと染み込んでいた。肌に絡み付いてくるようだった。この衣裳は、もちろん自分の趣味ではない。姫のリクエストによる、コスチューム・プレイだった。  姫の大きな胸は、まだ大きく大きく上下に波のように起伏していた。  嵐の海のタイタニック号の甲板に、乗せられているようだった。  友美は、幸いに船酔いする体質ではなかったから助かっていた。  小百合は、初めての時、姫の腹の上で、お店を広げてしまったという。良く命が助かったものだ。よほど、虫の居所が良かったのだろう。  運動神経抜群の友美でも、頭がふらふらした。まだ立つことは無理だった。うつぶせになっているしかなかった。  姫の体温が、ひんやりと感じられた。あれほど燃えた後なのに、肌の温度に変化はなかった。  小人になってからは、友美達の体温が、上がっているらしい。巨人の分厚い皮膚は、いつも冷たかった。足などは、氷のように冷えきっている時もある。  サキは、姫が冷血な性格である証拠だと、判断していたけれども。  友美は、顔を姫の白い顎の崖のある方向に向けている。産毛が光っている。  呼吸の風が、頭の白帽を飛ばしそうに強く吹いていた。右手の下では、巨大な心臓が太鼓のように、どおんどん、どおんどんと規則正しく鼓動していた。  友美は右の乳首が、二枚の厚い生地の下でも、岩のように固く勃起した状態であることに気が付いていた。  悪い兆候だった。  それに今でもしがみついているから、良く情況が分かるのだった。乳首の隆起だけでも高さ二十センチはあるだろうか。直径は、十センチを越えていた。  目鼻はないが、石の仏像のように頼りがいのある物体だった。同時に恐ろしくもあった。姫の興奮の度合いを計る機械のようだった。  十二歳の少女の興奮は、醒めていないのだ。  揺り返しがあることだろう。  彼女は、今までの体験から、そのことを知悉していた。一度では済まないという、須美子の忠告もあった。  姫が、瞳の長い睫毛を閉じているのが、この小高い丘の上からは見えた。黒い草のような睫毛が震えている。  眉間に、苦しげにも見える皺がよっている。しかし、それは、オルガスムスの余韻に浸っているからだろう。      その時、姫の一本の指の腹が、友美の体を乳暈の上に押しつけるようにした。柔らかい肉の山に、むぎゅっという感じで、埋められていった。  凄い力だった。  指一本でも、たぶん今の友美よりも重い、骨と肉と脂肪の塊だろう。  相撲取りに押し潰されているような感触だった。鼻の奥に、甘い乳の匂いを嗅いだような気がするが、何かの錯覚だろう。  抵抗は無意味だった。  友美は、須美子先輩の助言にしたがって、無駄なあがきは一切しなかった。  そんなことをしても、この育ちすぎの美少女をさらに興奮させること以外に、何の効果もないことを知っていたから。  それでも、長い指が、友美の周囲の肉の斜面を、ずるずると滑り落ちていくのは、ほっとする眺めだった。  姫は、両手の指先を軽く左右の乳房の裾野にかけたままで、いびきをかきはじめた。  ごごごごごっ。  山が地滑りの前に鳴動するような、不気味な轟きだった。  友美は、その山頂の場所で、ゆっくりと、そして出来るかぎりそっと、体を起こしていった。  彼女の体重は、姫と比較すれば、ごくわずかだった。  けれども、この少女が体格の割に、繊細な神経を全身の素肌のしたに、張り巡らしていることは、周知の事実だった。まして、性感帯の上だ。  侮ることは、危険だった。  小人の動きに、敏感に反応して来るのだった。  それでも、友美は、姫の下半身にある校舎の方を、振り返らずにはいられなかった。  足の向こうに、みんなの姿を確認した。  須美子先輩が、すぐに気が付いていた。無言で大きく手を振ってくれていた。  スーツの蜂腰に、手を当てている。ハイヒールで、爪先立ちになっていた。心配して見守っていてくれていたことが、痛い程に分かった。  友美は、ほっと息を付いていた。  自分の無事を報せるために、両手で大きく丸を作った。  須美子先輩も、同じように返答してくれた。友美は、思わず涙ぐんでいた。  姫の君臨する世界に住むということは、明日の生死も不明な、戦場に生活するようなものだった。メンバーは、いつも七人だった。しかし、交替が頻繁だった。  友美と、須美子が、この部屋にきてからも、すでに一人が、交替していた。ナオミが、一番新しいメンバーだった。  その前は、・・・。  友美は頭を振った。恐ろしくて、思い出したくもなかった。  それだけに、彼女たちのつながりは、ごく短期間でも、歴戦の勇士たちのように強く深いものになっていた。  いや、須美子先輩については、それ以上の関係だった。  友美は、一刻も早く、須美子先輩とみんなのところへ走って戻りたかった。  しかし、「姫の意志に逆らうな」という須美子先輩の注意も、身に染みて分かっていた。動くことは、できなかった。  友美から見れば、姫は人間ではなかった。残酷な性格の巨大な怪物でしかなかった。  いや、先輩の言うように客観的に考えれば、本当は、ごく普通の小学六年生なのだろう。彼我の体格の相違が、怪物的な力を姫に与えているのにすぎなかった。いたずらな恐怖や、崇拝は不要なものだった。  姫は、彼女たちをかわいいおもちゃとして扱っていた。それ以上でも以下でもなかった。つまり、人間としての権利は、完全に無視されるということを意味した。  生きている人形というのが、彼女たちの存在意義だったから。  友美は、ただ静かに姫の乳房の下側に、背中をもたれかける格好で座っていた。尻の下に、太い肋骨の湾曲を感じていた。  左胸の山の上には、大きな名札が縫い付けられていた。  小学校の紋章と、六年二組 白木雪子の名前があった。油性のマジック・ペンで書かれていた。一文字で、十五センチ角の大きさがあった。達筆の文字である。子供のものではなかった。  姫にも両親がいるはずだった。が、友美達は誰一人として、その姿をはっきりと見たものはいなかった。  ただ、最古参の小さ子さんが、一度だけ、黒いドレスの巨大な母親らしい女性の姿を、ドアの向こうにちらりと見たことがある、というだけに過ぎなかった。  姫は、朝は目覚まし時計で起きる。  毎朝、長い髪をシャンプーする習慣である。  バスとトイレが、この部屋の隣に付いていた。友美達も、一緒に付き合わされる時があるので、よく知っていた。  そして、部屋から出ていく。小学校に行くのだ。  夕方に帰宅する。火曜日と木曜日は、習いごとをしているらしく遅かった。  夜は、勉強を毎日だいたい一時間半はする。  テレビは、部屋にない。  かわりに静かに本を読んでいる。今は、メアリー・ノートンという作家の 「借り暮らし」というシリーズを学校から借りていた。       夜の十時には、就寝する。  テレビがないことだけが、ちょっと異なるかもしれないが、あとは本当にごく普通の小学生の生活である。  異常なところはなにもない。ただ、部屋に「七人の小人たち」を飼っているということ以外には。  須美子先輩は、誰か外部の第三者が部屋に入ってきたときを、最後の脱出のチャンスと考えていた。しかし、その時はなかなか来ないのだった。  ごおーっ。  風の音がした。  姫が唇を丸く突き出して、息を吐いたのだった。  友美の看護婦の白い帽子が、ついに姫の足元の方に飛んでいってしまった。  大きな顔が、胸の向こうに起き上がってきた。友美は反動で、腹の上にごろりと転がってしまった。  姫は、ぱっちりとした大きな瞳を開いていた。  茶色の虹彩だけでも、二十センチメートル近い直径があるだろう。白目の部分は、碧いまでに澄んでいた。  姫の視線には、小人たちを威圧するような催眠的な力があった。友美は、それに見つめられていると萎縮して、全く動くことも出来なくなる。  自分の体が、さらに縮んでいくような気がするのだった。  姫は、小石大の瑪瑙のような目脂を拭った。 「あたし、少し、うたたねしてたみたいね」  姫は、小人が近くにいるときには、出来るかぎりささやくような小さな声でしゃべってくれる。  それでも、拡声器を通したように大きかった。  半分は、足元の胸の内部から、直接に友美の骨にずずんと響くような重低音だった。 「ほんの、五分間ぐらいですよ」  友美は、気力を振り絞って、大声で応える。これで、やっと聞こえるぐらいの声量らしい。 「そうね。あたし、持久走で少し疲れてたのよ。ああ、そうだ。ねえ、聞いて。あたし、学年の女子で、五位に入賞したのよ」 「すごいですね」  友美は、とりあえず誉めた。校舎の前庭の方からも、拍手の音が聞こえた。  姫が、この巨乳を揺らしながら力走している情景を考えると、それは物凄いとしか形容できなかった。  二つの惑星のように、白いシャツの内部に実っていた。厚い生地を押し広げながら、重く垂れていた。  姫が、微笑した。これほど大きいのに、可愛いといっても良い笑顔だった。  もしノーマルなサイズであったとしたら、きっとひどく可愛い美少女なのだろう。 「ありがとう。友美ちゃんは、今日は、これで、もう良いわ」  姫は、看護婦のくびれた白く細い胴の部分を、指の間にそっと挟むようにした。そのまま、校舎の前の仲間たちのところにまで運んでくれる。歩いていく必要はなかった。  白い腹部が、乱れたブルマーのワインレッドの大地が、太股が、膝が、脛が、足が、友美の足元を流れるように通過していった。スカートが風に翻った。  友美は、空を飛翔する妖精になったような気分だった。  あれほど、遠かった距離が、一瞬で越えられていた。 (七人のいけない小人たち 第3章 友美 完)